【完】サクラのうた ‐桜庭 大雅‐
♪〜♪〜♪〜
……こんな時に電話とか、誰だよ。
つーか知らない番号なんスけど?
「…もっしー、どちら様?」
『あ、桜井です』
………。
「桜井って名前の知り合いは居ませんので切りまーす」
『え、あっ…――』
ピッ....
…って、なんであの子が電話してくるわけ?
つーかなんで切ってんだ俺。
♪〜♪〜♪〜
…なんでまたかかってくるんだよ。
「…もっしー、ただいま留守にしております」
『…さっきから何やってるんですか桜庭先輩』
「…あはは」
……ほんと、何ワケのわからんことをやってるんだろーね…。
「…それで?急に電話なんてどうしたの?」
『あー…いえ、もういいです』
…なんだそりゃ。
そんな言い方されたら気になるじゃん。
でもまぁ…、
「それじゃあ、もう切るね」
…この子と話してると、またペースを乱されそうだから…、だから何も聞かずに電話を切ることにした。
『…あの、やっぱり言いますっ…!』
「………」
…電話の向こうでそう聞こえたけど、聞こえてないフリをして携帯を閉じる。
……何逃げてんだよ、俺。
あの子の言葉、聞いてやりゃあいいじゃん。
別に逃げる必要なんかねぇじゃん。
…何やってんだよ、マジで。
馬鹿じゃねーの。
♪〜♪〜♪〜
「………」
…あの子も、馬鹿だよな…。