【完】サクラのうた ‐桜庭 大雅‐
……いや。
いやいやいや、無い無い無い。
「山ちゃん何言ってんだよ。
俺は別に、あの子のことなんて…――」
「んなこと言うけどさぁ、あの子の話をしてた時のお前、すげー良い顔してたよ?」
「――…え?」
「ただ単に懐かしんでるだけじゃなくて、なんかこう、愛しい。っつーの?
そういう顔してんのに否定されても、信じらんねーから」
……愛しい?
なんだよ、それ…。
「…お前さぁ、いろんな女と遊んでるくせに、なんで“恋愛なんて興味無い”って言ってるわけ?」
「………」
「あ、多分あれだろ、あの子が“忘れられない女”だからさぁ、他の女のこと無意識に避けてんじゃね?」