【完】サクラのうた ‐桜庭 大雅‐
……。
そんなやり取りを繰り返しながら、ようやく中学に着く。
ダメだと思いつつ、フェンスを乗り越えて体育館裏へ。
「ここがお前らの運命の場所かぁ」
「運命かは知らないけど、まぁ出会った場所だね」
…懐かしいなぁ。
ここに座って、いつも空を眺めてたっけ。
その時にいつもあの子が来て、「また居る…」って嫌そうな顔して。
「…ほんと、懐かしいなぁ」
だけどやっぱり頭に浮かぶのは、あの子の嫌そうな顔なんだよな。
…どこをどう見て、それが「好き」になるんだろう?
「大雅」
ふと、山ちゃんが何かをひょいっと投げて寄越す。
これは…、テニスボール?
「……そういやぁ昔、ボールをバァーッとこぼした子が居たなぁ」