【完】サクラのうた ‐桜庭 大雅‐
…んー…。
アレって確か、龍輝と仲直りする前の日だったよね。
つまりサクライ アヤとのやり取りが日課になってた時だから、そんな時に彼女と他の子を間違えるわけがない。
「…アレはサクライ アヤじゃない」
…うん、それは間違いないんだ。
なのにこう…、何かが引っ掛かる。
「その子と何かあったんじゃねーの?」
「んー…」
「あぁアレだ、エロいことしたんだろ?」
「…って、山ちゃんの頭ん中はそればっかりだね」
「だって、男と女が二人きりになってするのはソレだろ?」
…あはは。
まぁ確かに、女の子の肌に触れるのは好きだけどね。
「でも別に何も無かったよ。
保健室に送り届けて、それでおしまい。
それに、二人きりじゃ…――」
――…二人きりじゃなかったんだ。
「…居たじゃん、サクライ アヤ」
「へ?」
「保健室に連れてった時、サクライ アヤが付き添ってたんだよ」
そうだよ。
あん時、一緒に居たじゃん。
怪我した子は綾ちゃんの親友かなんかで、それで一緒に居たんだ。
あの時…、保健室に女の子を預けた後、二人で歩いてたんだ。
その時に俺…、
「…俺、綾ちゃんに何か言った」