【完】サクラのうた ‐桜庭 大雅‐
「…んや、真由ちゃんに俺の気持ちは言わねー」
「そか? 二人きりにしてやってもいいんだぞ?」
「…うっわぁ上から目線ムカつくわー。
そんな発言ばっかりしてると友達無くすよ?」
「あはは、それでもお前は俺と居るだろ?」
…あー…ムカつくけど、正解。
「…多分ずっと龍輝と居るだろうね。
中学ん時から一緒なのを、今更切れねーもん」
「だな」
「あぁでも、すげームカついたらまた離れるかもなぁ」
「あー、中3の時みたいに?」
「そ。 でもあの時って、なんで離れてたんだっけ?」
意見のすれ違い。ってのはわかるけど、なんで喧嘩したんだっけ?
と思って龍輝を見たら、龍輝は「んー」と悩んだ顔で空を見上げてる。
「忘れた」
…って、龍輝も覚えてないんかい。
「朔也、あの時のこと覚えてる?」
「うん」
「俺と大雅、なんで喧嘩してたんだっけ?」
視線を向けられた朔ちゃんは、いつもみたいに小さく笑って言う。
「秘密」
…なんじゃそりゃ。
「まぁ、たいしたことじゃないから忘れたまんまでいいよ。
それよりも、ほら」
スッと手を伸ばした先に山ちゃんと綾ちゃんが居て、二人は並んで歩き始めてる。
「あの子のこと、このままでいいの?」