キミが好きなだけ。
なぜならば、キミとすれ違うからだ。
私はキミが好きだ。
だけどあの日、私のせいでキミとの仲を壊してしまった。
小学6年生の冬、定期演奏会に向けて練習をしていた私達。
そのなかで、何気なく話していた時。
「ねぇねぇ、爽太って好きな子いるの?」
早上久実。
私の心友でアルトサックスをやっている。
「俺?俺は…いねぇよ。」
村木爽太。
私の好きな人。ツンデレ。
テナーサックスをやっている。
「え!いないの!?てっきり沙綾の事が好きなのかと思ってたよ~。」
「ぷっ!そんなことあるわけないだろ~。」
「え、なんかショック…」
いつものやり取り。だけどなぜか、爽太と久実が中心になり
私がわき役になっていた。
「は?意味わかんない!だからやなんだよー。」
「お前が悪いんだろ!」
いつの間にかケンカになっている二人。
「ケンカするほど仲がいいっていうんだよ♪」
「は?」
「は?」
(にこっ)
「沙綾はいつもそういう風に言うからやだ。」
「ホントだよ。まじそういうのうぜぇ。」
これは本心じゃない。
ただの”嫉妬”だった。