キミが好きなだけ。
それから、1か月が経ち一言もしゃべらぬまま定期演奏会を終え
卒業式を迎えた。
そして今。
中学校に入学した私と爽太。
クラスは離れた。
いまだに話せてない私。
すれ違うたび、締め付けられる想い…。
「ねぇ、久実?もう爽太としゃべんないで2ヶ月が経ったんだよね…。」
「ホント。2人ともどこまで意地張りつづけるつもり?」
「意地なんて張ってないよ!もともと全部、爽太が悪いんだもん…。
沙綾も悪い…けどさぁ…。」
「そういうところが意地張ってるんだよなぁ。」
「まぁ、爽太も爽太で言いにくいところあんじゃない?
謝られたけど無視しちゃったし、きっときっかけがないんだよ。」
「そうかなぁ…。」
「そうだよ。いっそ、沙綾から声かけてみれば?」
「無理無理!そんなの絶対無理に決まってるよ!!」
「ホントは話したいくせにぃ~。全部わかってるんだからね!」
「んー…。」
本当は、久実が言う通り。話したくて話したくてしょうがなかった。
あの頃に戻りたいって思ってた。
だけどそれを壊したのは全部私。
「…うぅ…っく…。」
その夜、私はただただ泣き続ける事しかできなかった。