リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『懐き系』・1
『懐き系』・1
高校へと向かっている道の途中、わたしの後ろからついて来るような足音が聞こえる。

その足音は、わたしが早く歩けば早くなり、遅くなれば遅くなる。

ピッタリ3メートルの距離をとって、追跡者はわたしを追い掛ける。

わたしは曲がり角に入り、くるっと振り返った。

すると追跡者も追い掛けてくるので、ドンッと真正面からぶつかる。

「うわぁっ!」

わたしの胸のあたりに激突した追跡者は、体勢を崩し、転びそうになる。

追跡者がとっさに伸ばした細い手首を掴み、支えてあげる。

「はあ…。アンタ、いい加減にしたら?」

「ううっ…。危なかったぁ」

追跡者はまだ中学2年の少年。

身長も体格も、高校2年のわたしの方が良い。

「おねーさん、いきなり立ち止まんないでよ」

「アンタが追い掛けて来なきゃぶつからなかったわよ」

「えへへ」

少年は誤魔化すように笑うと、わたしにぎゅっと抱き着いてくる。
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