リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『懐き系』・1
口の中に広がるバターの香りと、甘い味が舌の上で広がる。

「んっ。美味しいよ」

「ホント? 良かったー」

口溶けが良くて、紅茶と合う。

わたしがクッキーを食べる姿を、少年はニコニコしながら見ている。

「…ねぇ、見られていると何か気になるんだけど」

「そう? じゃあボクにクッキーを食べさせて。あーん」

目を閉じて口を開けるので、仕方なくクッキーを食べさせてあげる。

「ぱくっ」

と、クッキーをつまむ指まで食べられた。

「コラ」

デコピンをするとすぐに口は開かれ、指が開放される。

「あいたっ。ううっ…。おねーさんのツッコミって激しいよ」

「じゃあ優しい女の子の所へ行きなさい」

「ヤダよぉ。ボクはおねーさんが好きなんだから」

涙目になりながらも、わたしに抱き着いてくる。

「おっと…」

体重がかかって、思わず倒れ込みそうになる。

「コラ、いきなり強く抱き着いてこないでよ。倒れたら、大変でしょう」
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