大切なもの
何も覚えていなかった。
目が覚めるとベッドに寝ていた。 携帯のカレンダーがあの練習の日から3日後を指していた。
『おれは,どうなったんだ?』
ズキッ!
右肩を上げると体全体に痛みがはしった。 左手で体を起こして,鏡を見た。
頭には,包帯を巻いていた。
ガラッ。
立ち上がろうとしたその時,扉が開いた。
『一輝! 目が覚めたんだね!』 幼なじみで隣の家に住んでいる奈津美が入ってきた。
後から,母さんも入ってきた。
『おれ…なにが…』
『覚えてないの? 練習中にバットが飛んできて…』