目が覚めると7人の男が側にいました。
「亜子、大丈夫?」
ジンの手から解放され、いまだ船酔いのような気分の悪さに俯いていると、冷えたペットボトルが差しだされた。
ふっと顔を上げると、さっきまでジンとコントを繰り広げていたベージュ髪の少年があたしを心配そうに見つめている。
「あ、ありがと。えっと……」
「あぁ、ごめん。俺の名前は神田光。高校一年の16歳だから…亜子の一つ下」
ピクリ、耳がその名前に反応する。
コウというらしいベージュ髪の少年は、口をポカンと開けるあたしに何とも爽やかな笑顔を向けている。
けれどその名前、たった数分前にも聞いたような。
「神田って…まさか、」
「あ、うん。もう分かってるだろうけど、亜子は俺の姉貴だよ」
くらり、治まっためまいがよみがえる。
ジンほどの衝撃はないものの、こうも簡単に言われちゃ気が抜ける。