目が覚めると7人の男が側にいました。
「ねぇ亜子ちゃん、」
一瞬のことでポカンと彼の後ろ姿を見ていると、ふわり、優しく手を握られた。
ふと視線を手元に降ろすと、ビー玉のようにまあるい瞳があたしを見つめている。
ふわふわと色素の薄い癖っ毛の髪がやわらかそうで、思わず撫でると幸せそうに笑った。
その笑顔にてっきり女の子だと思っていたあたしの思考は、
「ほんとに全部忘れちゃったの?僕のことも?」
“僕”そう言った目の前の小さな手の持ち主に、あぁこの子もかと悟った。
今までの流れで何となくもう分かる。
「神田空。小学6年生、亜子ちゃんは僕のおねぇちゃんだから。もう忘れないでね?」
「う、うん」
まるで台本でもあるかのよう予想通りの言葉に、もうここまで来ると何も驚かなくなってくる。