SUN or RAIN ①
「早乙女樹里だよ? 教えたよね?」
はぁ…と溜め息をついた工藤君は
髪をくしゃっとかきあげて
「…名前で呼んで」
恥ずかしそうに、でも、しっかりとあたしの目を見て言った。
「へ? あ、時雨君…って?」
「ん……俺も樹里って呼ぶから」
「う、うん…」
じゃあ、と言って帰っていった時雨…君を見送ってから家に入った。
うー…まだドキドキしてるょ……
『樹里』
そう呼ぶ時雨君の声が頭の中で何回もリピートされていて……
放れてくれない。
メール……頑張ろうかな?
そう思ってケータイを手にした。