咲き舞う華は刻に散る
第二章:《都忘れ》
1.
ある晩。
美桜里は商家の屋根に上がり、ある部屋を見つめていた。
そこは山緒という料亭の一室だ。
中には浅葱色の羽織を纏う土方や沖田達、あとは芹沢といつも一緒に居る新見が居る。
彼らは美桜里が部屋の様子を見ている事に気付いていない。
大和屋の一件以来、土方達の様子がおかしかった。
近藤率いる試衛館派…、土方達が前から相容れてなかった芹沢一派をどうにかしようと目論んでいる。
それは美桜里が隠れて観察した結果だった。