咲き舞う華は刻に散る
屯所に着いた美桜里はある人物の部屋の様子を窺っていた。
「山崎は居ないな…」
下手したら、此処には監察方の山崎烝が居る可能性がある。
彼の姿に用心するように辺りを見渡す。
しかし、この時は幸い山崎は居ないようだ。
美桜里は足音を立てないように襖に耳を当てた。
「近藤さん、新見の始末は終わった。あとは奴だけだ」
「うむ…」
聞こえるのは土方と近藤の声。
あとは居るのは気配からすると、沖田と土方と同じ副長の山南、原田だろう。
彼女が今居るのは近藤の部屋の襖の前だ。
山緒での様子を見て、大体の予想はついたが、まだ気になる点が幾つかあった。
それを確かめるため、今此処
に居るのだ。