咲き舞う華は刻に散る

2.



灯籠の淡い光が照る島原。



そんな島原に男を接待する芸妓の声や三味線などの音色が響く。



誰もが時を忘れたように楽しむこの花街で一人だけ不機嫌そうにしている芸妓が居た。



「なぁ、総司。美桜里は何で、不機嫌なんだ?」



「そんなの決まってるじゃないですか。土方さんが無理矢理芸妓の格好をさせたからですよ」



沖田と原田はコソコソと話をしながら、窓辺に座る芸妓を見た。



そこには不機嫌な芸妓――、美桜里が居た。





< 144 / 615 >

この作品をシェア

pagetop