咲き舞う華は刻に散る
「人並みの幸せを私は望んではいけないのか…?」
美桜里の呟きはあまりにも小さすぎて、雨音に掻き消されてしまった。
多分、誰に問うても、その答えは見出だせないだろう。
すると、右手から刀がすり抜け、ぬかるんだ地面に落ち、美桜里はその場に膝をついた。
「幸せを望んではいけない…」
誰だって、幸せになりたいと望む。
しかし、混血である彼女にはそれは許されない。
美桜里は地面に手をつき、土を握り締めた。
指の跡に沿って出来た溝に雨が流れ込んで行く。