咲き舞う華は刻に散る
「総司!部屋に入る時は声くらいかけやがれ!」
「えー!それじゃあつまらないじゃないですか」
沖田は悪戯好きの悪ガキのような笑顔を浮かべた。
それはまるで土方を弄り、退屈過ぎる今を凌ごうとしていると言っているようだった。
この真意を土方が気付いていない訳がない。
美桜里は彼が怒鳴る事を瞬時に察し、部屋から出て行こうとした。
「ったく…、相変わらずだな、お前は。総司、暇なら、川綵と遣いに行って来い」
しかし、土方は怒る所か、微笑していた。
そんな彼の様子に沖田も呆気を取られていた。
それよりも美桜里には今、土方が言った言葉が突っ掛かっていた。
今、土方は沖田に誰と遣いに行って来いと言った?
美桜里は壊れたからくり人形のように沖田に視線を向けた。