咲き舞う華は刻に散る
その頃、美桜里はというと――。
無理矢理遣いに行かされた美桜里は不機嫌そうに街を歩いていた。
「いい加減機嫌を直してくださいよ、美桜里さん」
隣を歩く沖田が少し困ったように美桜里を見た。
それは屯所から連れ出して来た張本人が言う言葉ではない。
もともと彼が土方の部屋に来なければ、遣いを頼まれる事はなかっただろう。
美桜里は事の元凶である沖田を睨みつけた。
しかし、それは彼の笑顔で受け流されてしまった。
その笑顔のせいで美桜里の苛立ちは頂点に達しかけていた。