咲き舞う華は刻に散る

1.



「く…っ」




かび臭い牢の中に一人の少女がいた。



年齢は15歳くらい、端正な顔立ちに華奢な身体をしている。



しかし、そんな端正な顔も華奢な身体も今は青痣や擦り傷で覆われ、顔も苦痛に歪んでいた。



ただ、少女にとって身体の傷の痛みが苦痛なのではなく、傷が治る時の痛みが苦痛だった。





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