咲き舞う華は刻に散る
「兄様はまた来ると言っていた…」
今回は手を出さずに去って行ったが、次は分からない。
美桜里は前髪から手を離すと膝を抱え、小さくなる。
また今日のような事があれば、美桜里はどちらかを選ばなくてはいけなくなるだろう。
血を分けた実の兄か――、それとも、人間である新選組か――、を。
だが、今はどちらを選べば良いのか、彼女には分からなかった。
美桜里は抱えた膝に顔を押し当て、丸くなる。
「私は一体、どうすれば良いんだよ…?」
彼女の問い掛けに答える者はなく、その哀しそうな呟きは静かな室内に溶けて行く。
まるで、答えを見出だしてはいけないと言うかのように――。