咲き舞う華は刻に散る
第三章:《吾亦紅》

1.



美桜里が自分の正体を話さないまま、数ヶ月が過ぎ――。



元治元年 六月。



昨日まで雨が降っていたというのに、今日はすっきり晴れている。



今は六月。



洗濯物が乾きにくいじめじめとした梅雨の時期にはこの晴れ間は貴重だ。



平隊士や世の中の主婦達が洗濯に明け暮れるているだろう。



美桜里はそんな事を考えながら、出窓の障子を開け放った部屋に寝転がっていた。



その格好は嫁入り前の娘とは思えぬ程のだらしない。





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