咲き舞う華は刻に散る
「此処に置くぞ」
「…ああ」
さっきから土方は短くしか返事してくれなかった。
そんな彼を不思議に思いながら、美桜里は文机に茶を置き、部屋を出て行こうとした。
すると、いきなり土方に腕を掴まれる。
「何だよ」
美桜里は怪訝そうに眉をひそめると、土方を睨みつけた。
「お前、俺達に何か隠してないか?」
彼の言葉に美桜里はひそめていた眉をピクリと動かした。
「(まさか、沖田が話したのか?)」
美桜里の頭にそんな予感が過ぎる。
しかし、それはないだろう。
もし、土方と沖田が話していたら、人よりも聴覚が優れている美桜里が気付かないはずがないからだ。
だとしたら、昨夜の姿を見られたとしか考えられない。