咲き舞う華は刻に散る


「美桜里の過去が気になるか?」



「はい…」



「教えてやりたいが、教えられぬ。人間である余が話してはいけない気がしてな…」



会津公は哀しそうに眉を下げると、美桜里の頬に触れていた手を動かし、彼女の頬を撫でた。



彼女を起こさないように優しく、優しく――。



「やはり、人間は信じれぬか…。美桜里」



美桜里を見つめる会津公の眼差しには哀しみが込められている。



土方達は彼女の過去については何も知らない。



だが、一つだけ分かった事がある。



美桜里は人間を信じていない――。



確かに彼女が土方達に冷たい眼差しを向けて来る事はよくあった。






< 293 / 615 >

この作品をシェア

pagetop