咲き舞う華は刻に散る
「美桜里の過去が気になるか?」
「はい…」
「教えてやりたいが、教えられぬ。人間である余が話してはいけない気がしてな…」
会津公は哀しそうに眉を下げると、美桜里の頬に触れていた手を動かし、彼女の頬を撫でた。
彼女を起こさないように優しく、優しく――。
「やはり、人間は信じれぬか…。美桜里」
美桜里を見つめる会津公の眼差しには哀しみが込められている。
土方達は彼女の過去については何も知らない。
だが、一つだけ分かった事がある。
美桜里は人間を信じていない――。
確かに彼女が土方達に冷たい眼差しを向けて来る事はよくあった。