咲き舞う華は刻に散る


それは単純に見ず知らずの自分達を警戒しているだけだと思っていた。



しかし、実際は違っていた。



警戒しているのではなく、土方達――、人間を信じていなかっただけだったのだ。



「殿…、そろそろ藩邸に戻りませぬと…」



家臣にそう言われ、会津公は名残惜しそうに美桜里の頬から手を離し、立ち上がった。



「美桜里は気の強い。だが、それはただの強がりに過ぎない。だから、美桜里を守ってやってくれ」



会津公は新選組の面々にそう命じ、家臣達と共に去って行った。






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