咲き舞う華は刻に散る
傷が治る――。
それは常人では有り得ないこと。
そう、彼女は人ならざる者なのだ。
「こ、んな痛み…、ぅあ…っ、く、はっ」
痛みに耐えるために唇を噛み締めれば、口内に鉄の味が広がり、新しい傷が出来る。
もがけば、吊されている手首に鎖が食い込み、痛みが襲って来る。
彼女にとって、すべてが苦痛でしかなかった。
いっそ、舌を噛み切って死んでしまった方がどれだけ楽かと、何度考えたか分からない。
「あぁ゙あっ!」
そこで少女――、川綵美桜里(カワアヤ ミオリ)の意識はプツリと切れた。