咲き舞う華は刻に散る



肉を貫く不快な音がする。



「な、何故…、何もしない…?」



美桜里は腹を貫かれ、己に寄り掛かる兄に声をかけた。



桐生は瞳の色を変えたものの、美桜里の攻撃を受け止めることなく、腹を貫かれた。



「理…由が…な、い…から…だよ…」



腹を貫かれてもなお、桐生は生きている。



しかし、永くはない。



「お前は俺の大切な妹だ…。お前に…殺されるなら、後悔はない…。それに、お前も泉羽も、あいつらも憎むつもりはない…」



土方達の方にいた泉羽は美桜里達の方に近付いて来た。



死が近いというのに、彼は哀し過ぎる程安らかだ。



「桐生様…」



「泉羽…、美桜里を頼む…」



桐生はそれだけを言い残すと、地面に倒れた。








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