咲き舞う華は刻に散る


目は完全に閉ざされ、ただ眠っているだけだと思ってしまう程、彼の死に顔は安らかだ。



すると、美桜里の風貌がいつものものに戻った。



美桜里は桐生の腹を貫いている刀を引き抜く。



「美桜里…?」



土方はこちらに背を向ける美桜里に近付き、声をかけた。



美桜里は小さく肩を揺らすと、彼の方を振り返った。



「…っ」



振り返った彼女は今にも泣きそうなくらい顔を歪めている。



それでも、気丈に振る舞い、涙を見せようとしない。



土方はそんな彼女を抱きしめた。






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