咲き舞う華は刻に散る
「何だよ、これ…?涙…?」
美桜里は自分の目から溢れて来る熱い雫を必死に拭った。
「哀しくなんかないのに、何故、涙が出るんだよ…。だって、私は私の意思で…」
「家族を失って、哀しくならねぇ奴はいねぇよ。ましてはたった一人の家族だったらな…」
「でも、私はそのたった一人の家族を殺したんだよ…。己を助けるために」
美桜里は歯を食いしばり、顔を伏せた。
「美桜里、お前は一人で全部背負い込むな。少しは俺達に頼れよ」
そう言って、土方はまた美桜里を抱きしめた。
いつもの彼からは想像出来ない程、優しく温かい声…。
その声が彼女の心にじんわりと染み込んで行く。
そして、さらに涙を煽った。