咲き舞う華は刻に散る
「うっさい!気持ち悪い!私に近付くな!」
美桜里は後ろから追い掛けて来る伊東から全力で逃げながら、叫んだ。
すると、廊下の角を曲がった所で斎藤と会った。
斎藤は暗い雰囲気を持っているが、整った顔立ちをしている。
伊東のお気に入りに違いない。
「斎藤!あとは頼んだ」
美桜里は斎藤の肩を叩くと、颯爽と走り去った。
「は!?何を言って――、ぎゃああぁあ!!!」
後ろから斎藤の悲鳴が聞こえた。
美桜里の予想は当たったようだ。
「済まないな、斎藤…」
美桜里は心の中で合掌すると、自室に向かった。