咲き舞う華は刻に散る
「そうか…」
「しかし、今の主は貴女様です、美桜里様」
美桜里に向けられる泉羽の眼差しは忠義に満ちたまっすぐなもの。
偽りのない澄んだ眼差しだ。
「…ああ」
美桜里は向けられたそれに答えるように小さく笑うと、茶を一口飲んだ。
「ところで、美桜里様。貴女様は新選組に恋しいお方がいらっしゃるのですか?」
「ぶっ!」
唐突な彼女の問いに驚いた美桜里は飲んでいた茶を勢い良く吹き出す。
泉羽はそれを軽やかに交わした。
さすが、忍びというところだ。
泉羽は笑いを堪えながら、美桜里に手拭いを渡した。
美桜里はそれを受け取ると、口元を拭い、泉羽を見た。