咲き舞う華は刻に散る


何故なら――。



「伊東甲子太郎…」



そう、彼女が毛嫌いしている男だったからだ。



彼の登場に美桜里はあからさまに嫌な顔をするが、当の本人はそれを気にする様子がない。



「その太刀筋、とても素晴らしいわ」



「どーも」



美桜里は刀を鞘に収めると、その場から立ち去ろうとした。


しかし、急に伊東に腕を掴まれる。



その瞬間、彼女の全身に鳥肌が走った。



「今夜、一緒に島原に行きません?」



無理、絶対行かない。



そう即答しようとしたが、美桜里は思い止まった。



最近伊東は腕の立つ隊士を呑みに誘っていると土方が言ってたからだ。



現に斎藤や永倉が誘われてる。





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