咲き舞う華は刻に散る
「クソッ!何なんだよ、薩長の銃の飛距離は!?」
美桜里の隣では土方が上がった呼吸を整えていた。
彼は新選組の指揮官として、前線に出ている。
いつもなら局長である近藤が指揮を取るのだが、数週間前に重傷を負い、沖田と共に松本がいる大坂城に護送されていた。
「大丈夫か?土か――、ぅあ゙っ」
突然肩に鋭い痛みを感じた。
かなり遠くから放たれた銃弾が美桜里の肩を貫いていた。
「美桜里ッ!」
体勢を崩した美桜里は土方の腕によって受け止められる。
肩を押さえる手の隙間から鮮血が伝う。
「くそったれ…」
美桜里は手に付いた血を見ると、そのまま意識を手放した。