咲き舞う華は刻に散る
しかし、痛みが強すぎて、これ以上歯を食いしばれば、舌を噛んてしまいそうだった。
しかも、風邪を引いたような寒気まで感じ、美桜里の身体は自然に震えていた。
そんな彼女を土方は抱き寄せた。
「大丈夫だ…、美桜里…」
土方の悲痛そうな声が頭上から聞こえる。
布越しには彼の温もりが伝わって来た。
優しくて心地好い温もりが――。
美桜里は無意識に彼の服をしがみつくように掴んでいた。
「大丈夫、大丈夫だから…」
土方は美桜里の狭く小さな背中を優しく撫でた。
次第に傷の痛みが和らいできた。
やっと傷が治ったのだ。
「ありがとう、土方…」
美桜里は彼に礼を言うと、そのまま意識を手放した。