咲き舞う華は刻に散る


「やっと落ち着いたか…」



土方は己の胸で眠ってしまった美桜里を布団に寝かせ直した。



彼女を襲っていた痛みがどれだけ強いかは分からない。




しかし、彼女の唇には歯を食いしばったせいで血が滲んでいる。



「すげぇな、お前は…」



血が滲むほど歯を食いしばる程の痛みなのに、美桜里は涙一つ見せない。



それともその痛みに慣れ、涙が出ないのか。



土方にはどちらなのか分からない。



しかし、痛みに慣れて、涙が出ないのだとしたら…。



彼女はどれだけたくさん怪我をして来たのだろうか?



慣れてしまう程の怪我をどうやって耐え抜いて来たのだろうか?



そんな疑問が土方の脳内を浸蝕していた。



しかし、彼が美桜里に抱く想いは負の感情ではない。



――称賛だ。





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