咲き舞う華は刻に散る
視線を声の方に向けると、美桜里は身体を起こし、立ち上がろうとしている所だった。
「お前、身体は…」
「平気だ。それより、何だ、そのしけた面は?そんなんじゃあ、鬼副長の名が廃るぞ」
美桜里は手早く服を着ると、刀を腰に差し、苦笑した。
「うるせぇよ。お前に何が分かんだよ」
「確かに分からんな。気難しいことを考えて、落ち込んでる奴の考えなんてな」
「てめぇ…」
土方は美桜里の言葉に苛立ちが募り、彼女に掴みかかった。
「お前は近藤さんを上におしあげたいんだろ?だったら、信念を曲げるな」
「…っ!?」
そうだ…。
俺が武士になりてぇのは近藤さんをてっぺんに押し上げるためだ。
そのために俺は鬼になるって決めたんだ。
土方は己がやろうとしていたことを思い出した。