咲き舞う華は刻に散る
翌日。
美桜里は新選組と共に江戸に向かう船の上にいた。
「山崎も逝ったか…」
重傷を負った山崎も同じ船内にいたが、数刻前に命を落とした。
山崎の遺体は旧幕府海軍副総裁、榎本武揚によって水葬された。
彼の水葬を終えた私は欄干に肘をつき、海の水面を見つめていた。
船は水面を切り裂くように進み、過ぎ去った水面には泡沫が浮かんでいる。
現れては消えるを繰り返す泡沫を見ていると、人間のように見えて来る。
産まれて、生きて、死んでゆく…。
それの繰り返し。
美桜里も人間と同じだ。
終わり【死】に向かって、生きている。
だから、いずれ彼女にも死は訪れる。
死は避けられない運命なのだ。