咲き舞う華は刻に散る
「仕事が終わらねぇ…」
怪我をして近藤がいない今、土方がやらないとならないことはたくさんある。
「腹減ったな…」
そんな彼の呟きに応じるように腹の虫が鳴った。
土方は二日程、何も食べていないのだから当たり前である。
しかも、睡眠もまともに取っていないせいか眠気もある。
これで倒れない土方は余程図太い根性…、いや、体力があるのだと思う。
「土方、ちょっと良いか?」
襖の向こうから美桜里の声がした。
「美桜里か?入れ」
土方がそう言うと、彼女は中に入って来た。
美桜里の手には握り飯と茶が乗った盆がある。