咲き舞う華は刻に散る
「あの中にいるの…?」
あの父と兄がいて、逃げ遅れるということは有り得ない――。
美桜里はそう自分に言い聞かせるが、姿が見えない以上、それは確信とは言えなかった。
「父様!母様!兄様ぁあ!」
美桜里は家族を助けるために炎の中に飛び込もうとした。
しかし、突然後ろから手を引かれ、阻まれる。
「何やってんだよ、美桜里!」
手を掴んでいたのは今まで一緒に出掛けていた幼なじみ、陽真(ハルマ)だった。