咲き舞う華は刻に散る
母成峠が突破された――。
そうなってしまっては官軍が城下へ進入して来るのは時間の問題だ。
「くそ…ッ!」
美桜里は近くの柱を思い切り殴った。
そして、城を警護する彼女に土方から伝令が届いた。
美桜里は会津公に許可をもらい、土方の所に向かった。
「旧幕府軍は仙台に退くことになった。だが、斎藤と泉羽は会津に残ることを選んだ」
斎藤と泉羽が…?
美桜里は二人が残ることに驚いた。
「俺は隊士と共に仙台に退く。美桜里、お前はどうする?」
彼は真っすぐと美桜里を見つめて来る。
土方が退くなら小姓である美桜里も退くべきだ。
しかし、彼女の答えは――。