咲き舞う華は刻に散る
「――という訳だ」
美桜里がすべてを話し終えた頃には大鳥は既にいなかった。
おそらく、空気を読んでくれたんだろう。
「…そうか。ご苦労だったな、美桜里」
土方は少し哀しそうに顔を歪めていた
原因はおそらく、京から共に来ていた斎藤が最後まで会津に残ったことだろう。
「でも、俺達が仙台にいる間に美桜里がこっちに来て良かったぜ」
「仙台にいる間…?」
土方曰く、仙台藩は官軍に恭順姿勢を見せている。
その為、旧幕府軍は遠い蝦夷の地に渡り、新しい国を作ろうとしているらしい。
「確かに間に合って、良かった」
さすがに蝦夷に向かうとなったら、美桜里一人ではどうにもならない。
美桜里は会津公の間合いの良さに感心した。