咲き舞う華は刻に散る


「別に…」



美桜里は自分の名が嫌いだ。



美しい桜の里――。



それは母が生まれた藩――、両親と兄を死に追いやった憎き祖父が治めていた場所だからだ。



美桜里は膝の上で拳を握り締めた。



「あぁー…、ゴホン。川綵と言ったか?昨晩、何故浪士達を斬り殺した?」




彼女の顔色が変わった事に気付いた土方は咳ばらいをし、話を元に戻した。








< 60 / 615 >

この作品をシェア

pagetop