咲き舞う華は刻に散る

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「んン…、変な夢だったな…」



美桜里は目を覚ますと、背伸びをした。



変な夢とは土方が彼女の部屋に来て、額に口付けて行くというものだった。



ふと枕元に置いてある文が目に入った。



「美桜里へ?差出人は…、土方歳三…ッ!?」



美桜里は慌てて文を開き、目を通した。



「う…そ…」



文には辞世の句と美桜里への別れの言葉が書いてあった。



美桜里はその文を片手に寝間着のまま、土方の部屋に向かった。



しかし、何処を探しても彼は見当たらない。



「土方…、何処に行ったの…?」



「川綵さんッ!」



すると、血相をかいて兵士が部屋に飛び込んで来た。



「土方さんが…っ!」



美桜里の指から文が滑り落ちた。



嘘だ…、土方が撃たれたなんて…。



「嘘だ…ッ」



美桜里は兵士と共に部屋を飛び出した。





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