咲き舞う華は刻に散る


五稜郭から少し離れた場所に土方は血まみれで横になっていた。



美桜里は土方に駆け寄ると、彼を抱き起こした。



「起きろ…っ!起きろよ!土方…ッ!!!!!」



「う…っ」



すると、土方はぼんやりと目を開けた。



出血が酷いせいか、意識が朦朧としているようだった。



「今、出血を…っ!」



止血を試みようとする美桜里の手を彼は制した。



「何故…、止めるんだ…?」



「致命…傷だ…、無駄だ…」



「無駄じゃない!」



美桜里は再び怪我を止血しようとした。



すると、彼の手が美桜里の頬に触れる。



「涙…。何泣い…て、ん…だよ…」



美桜里はふと自分の頬に触れた。



頬が濡れている。





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