咲き舞う華は刻に散る
すると、陽真の後ろに人影が現れた。
それは此処にあるはずのない者のものだった。
「お…祖父…様…?」
そこに居たのは奥州のとある藩の藩主であり、母方の祖父――、桐里尚孝(キリサト ナオタカ)本人だった。
「ふん、こんな山奥に身を隠しおって…。手間がかかるのぉ…」
怪訝そうに顔を歪める祖父の顔を見ると、美桜里の意識はだんだんと遠くなる。
「醜い鬼の子が…」
意識を失う間際にそんな言葉が聞こえたが、そこで意識は途切れた。