咲き舞う華は刻に散る


「なぁに、今後の話し合いをして来ただけだ」



土方と対立している二人の男のうち、鉄扇を手の平で弄ぶ男がそう答えた。



男の返答に土方は眉をひそめる。



「島原でか?それだったら、屯所でも出来ると思うんですがね、芹沢さん」



鉄扇を弄んでいた男――、芹沢は土方の嫌味に嘲笑った。



「儂のことに気を取られ、周りが見えていないようだな、土方」



芹沢は美桜里の方を見た。



土方は芹沢に続くようにその方向を振り返る。



何故お前が此処に居るんだ、という目で土方に見られた美桜里は不快になり、視線を反らした。





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