咲き舞う華は刻に散る
そんな思いから、美桜里は早々に脱走しようとした。
「何をしている、小娘」
野太い声と共にいきなり後ろから襟首を掴まれた。
後ろを振り返らなくても分かる。
この声は――。
「芹沢…」
そう、美桜里が一番見つかりたくない男が彼女の襟首を掴んでいた。
「何をしていた?」
「別に…、ぐぇ…!?」
芹沢は怪訝そうな顔をした。
すると、急に掴まれていた襟首に力が加わり、若干首が絞まった。