彼女の残したもの・・・
第4章 1980年
第4章 1980年

「おい、みんな行くよ!」

「はい!隊長」

あやのは、忍者部隊月光の三日月のように強く、正義感に溢れていた。

僕らはいつの間にか服従から尊敬に変わっていた。

3人共、あやののことが大好きになっていた。

夏休みは朝から日が暮れるまで、4人で真っ黒になって遊んだ。

いつも最後まで帰らずに残って居るのがあやのだった。

あとで大人たちの話を耳にしたが、あやのの家は共働きで、母親が帰るのはいつも深夜から明け方近くらしい。

父親は毎日は仕事がなく、酔っぱらっては、あやのに嫌なことをするらしかった。

幼い弟が居たが、隣の佐々木さんちにずっと預けられていた。

大人たちは、あやのちゃんと遊んじゃダメだと言うが、僕らには関係なかった。

あの楽しかった夏の日が永遠だと誰もが信じて疑わなかった・・・

ーあれから10年。

時間と共に、遊び仲間も変わっていた。

僕は大学受験に2度失敗して、予備校に行くのも飽きて、バイト三昧の生活だった。

そんな時、あやのに意外な所で再会することになった・・・
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