monoTone
美月に遊びに誘われた瞬間、京介が舌打ちを

した。

京介は、舌打ちをしたあと、あたしの髪を鋤

いて、前髪を上げて、おでこにキスをしてき

た。

…恥ずかしい。

人の前でキス…するとか。

「京ちゃんズルい。俺もキスしたいっ」

「はぁ!?」

びっくりしたよ、そりゃ。

なんで、美月がそんなこと言っちゃってるわ

けよ?

「…美月?」

「ん?」

「本当に、美月は女嫌いなの?」

「うん。何で?」

「女嫌いなわりに、あたしにキスしたいとか

言ってたり、抱きついてきたり、矛盾してる

から」

「嫌いだ。日向以外」

「なんで嫌いなの?女の子」

「…嫌いだから」

「それ、理由じゃないじゃん」

「…嫌いじゃなかったんだよ。前までは」

「うん」

「けど、一度、すっげぇしつこく迫ってくる

女がいたんだ。そいつが、俺をストーキング

してきたり、どっかからか聞き付けて、俺に

毎日メールしてきたり…まぁ、そのうちに、

女はみんなそうなんだ、と思った」

「そうなんだ」

「…………女なんて、嫌いだ」

「うん。嫌いなんだね」

「…その一人も嫌いだったけど、そいつを無

視しただけで、他の男子は、俺を贅沢だって

言ってきた。それで、男付き合いまで危うく

なってさ」

「それ、ただの妬みじゃん。男子なのに、ダ

サい」

「そんな時、助けてくれたのが京ちゃんだっ

た」

…京介?

「京ちゃんが、俺に今の場所、与えてくれた

から、今は平気なんだ。今の5人のなかに入

ったの、俺が一番最後だったんだ」

「そうなの?」

「…京ちゃんは、無口だし、無愛想だけど、

すっごい優しいんだ」

「知ってるよ」

京介は、すっごい優しい。

あたしだって、それは感じた。

この前ケンザキと喧嘩した時だって、あたし

が腕掴まれて、痛かったからだと思うし。

なんて、自惚れんなって感じだけど。

「…京ちゃんがいなかったら、テキトーな学

校入ったまま、また一人だったかもしれねぇ

から。京ちゃんと出会って、晴輝とヤスと、

徠斗に出会って。で俺、今は一人じゃねぇん

だ」

< 100 / 138 >

この作品をシェア

pagetop