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湊 京介という人

「ヤバイ」

「どうした?」

「はる君、教科書忘れた!!」

「教科書?」

「選択科目の教科書、忘れた!!」

「科目なに?」

「地理~」

「あっ、ごめん。俺、世界史」

「ど~しよ…」

「あっ、京介は?あいつ、地理選択だった気

がすんだよな~」

「京介?」

あたしは、ただ今パニック中。

教科書忘れたんです!!

しかも、鬼教師の授業で…

普通の授業ならね、持ってるフリだけして、

誤魔化しちゃうんだけど、鬼教師の授業は、

なにかと教科書使うから、持ってないわけに

はいかなくて…

見せてもらってれば、まぁ、なにも持ってな

いよりは怒られないと思うし。

「ねぇねぇ、京介っ!!」

いつもどおり、机に突っ伏して寝ている京介

の肩を揺らしてみる。

「……なんだよ…」

「京介、社会の選択授業、地理?」

「…あぁ」

寝起きで期限が悪いのか、返事がすごく冷た

い。

あっ…冷たいのはいつもことか。

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